ヤギエルの日常 #70
2020/12/24
今日も前回の続きをお届けします。
※事実を基に書いておりますが、フィクションも含まれております。
「だから僕は続けていける」
第3話 だから僕は面接に受かったのか?
前のお話で淡々と応募をしたと書いた気がするが、
決意とは裏腹に、必要事項を記入し、
いざ応募ボタンを押そうとした時、多少の躊躇はあった。
風俗業界というのはどうしても一般的な認識でどうしても
後ろ暗いイメージが先行するもの。
ボタンを押下する前にゴクリと生唾を嚥下した所で、
意を決して指に力を込めた後、マウスのクリック音と共に応募は完了。
暫く静まり返った部屋でその残響がこだましていたような、そんな気がした。
・・・
応募から面接までトントン拍子で進み、
面接場所は指定の場所に着いてから電話でナビしてくれると言う。
事務所の場所を告げられないなんて……などと怪訝な顔をしていたと思う。
ただ、よく考えたらデリヘルの事務所なんて基本どこにあるかわからないものだし、
大々的にお知らせするにはリスクの方が高い事に気付き留飲が下がる。
事務所まで案内され、緊張の面持ちで通常より2割増しで重く感じるドアを開けると、
そこには作業中のスタッフ数人が電話を片手にPCに向かい何やら忙しなくキーボードを叩いていた。
(物々しい雰囲気が怖い!)
その中の一人の男性ににこやかに応接室まで案内してくれる。
(爽やかなのが逆に怖い!)
応接室に通され、飲み物を出された!
(なにこれ怖い!)
若干の恐怖心が身体を強張らせるのを感じつつ、
面接官を待つ事数分……
面接室のドアが開き、そこに現れたのは、
思い通りというか、期待を裏切らないというのか、
見た目が怖い男性が現れた。
更に言えば、この男性はただの面接官ではなく、社長だった。
気持ち的に一次面接な気分だっただけに正に寝耳に水。
身体が一層強張る。
挨拶を早々に済ませ、履歴書に目を通すと、
二、三質問をされた後、採用予定だと告げられた。
一先ず安堵。
……した矢先に、最後に聞かせてくれと神妙な面持ちで社長が問う。
「風俗は好きk……」「はい!」
ぼくは少し被るほどの速度で即答をした。
面接でのご機嫌取りの為に即答したわけではなく、
興味が無ければ仕事は続けられないと思っているし、
何より内に秘めたスケベ心は本物だった。
社長はニヤリと口角を上げわかったとだけ言い、
初出勤日についてのお話をして面接が終わった。
・・・
なんだかんだで事務所を後にし、
家路についている最中に本日の出来事を思い返してみた。
怖いと思ってたけれど、思い返せば返すほど、
普通の事ばかりだったなぁ。
風俗業界だからと肩肘を張っていたせいか、
変なフィルター越しでモノを見ていたような気がする。
一般企業と何も変わらない。
そこに会社があり、仕事があり、そこで働く人がいる。
そんな当たり前の事に気付いた一日だった。
風俗が好きだから面接に受かった……のか?
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次回、第4話 だから僕は続けていける
お楽しみに!
以上、本日はここまで!
それではまた来週!CHAO!!
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